自殺しないですむ方法 (8/19)

 毎年、9月1日はとても中高生の自殺が多いといいます。そこで、講談社のブログ

「現代ビジネス」にこのテーマで寄稿しました。このテーマはとても大事なので、

多くの若い人びとや親のみなさんの目に触れるべきだと思い、現代ビジネスさん

にお許しをいただき、以下に、その要約版を貼り付けます。

ツイートなどで拡散をお願いします。

 

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  自殺しないですむ方法
                                                                         橋爪大三郎
 自殺するのは、人間だけだ。
 動物は自殺しない。動物の本能は、命を守るようにプログラムされている。

 人間もふだん、自分の命を守るように行動する。でもたまに、自分の命を危険

にさらしても、大事なものを守ろうとする。
 子どもがクマに襲われた。親は体当たりで、子どもを救おうとする。自分が危

ないとか考えるヒマもない。
 こういう行動がとれるのは、人間の誇りだ。

 自分の命より大事なもの。誰かの命や、人間として生きる意味(自分の尊厳や

社会の正義や…)である。人間は、命を犠牲にしても、それらを守ろうとする

(ことがある)。
 だから人間は、自殺する(ことがある)。自殺は、エネルギーもいる。勇気も

いる。自分で自分を殺すことだからだ。そして、理由がいる。自分で納得しない

と、自殺はできない。

 自殺が合理的な場合があるか。
 私は独裁政権と戦っている。秘密警察に捕まった。拷問されて、仲間の居場所

を白状させられそうだ。どうせ殺される。ならば今晩、命を断って、仲間を守ろ

う…。
 このケースでは、自殺するひともいると思う。

 だがキリスト教では、自殺は絶対にいけない。
 どうしてか。命は自分のものでないから。神のものだからだ。自分の命を奪う

のは、他人の命を奪うのと同じで、神に対する罪である。キリスト教は、命より

大事なもの(神)がある、と考えるのだ。この考え方は、頭に入れておくとよい。

 毎年9月1日、新学期が始まるころ、自殺が多くなるという。痛ましいことだ。
 新学期に、また学校に戻る。それが死ぬほど苦痛な中高生がいる。いじめも背

景にあるだろう。
 自殺はいけません。教師も親もそう言う。でもその声は届かない。彼らの苦し

さに寄り添った、解決の道筋をみつけよう。

 自殺を考えるのは、あんまり苦しいからだ。苦しさから自分を守るためだ。
 いじめが引き金になるケースが多い。
 この年代は親と距離をおき、友人が大事になる時期。まだ社会が狭く、学校が

すべてである。クラスでいじめを受けたりすると、逃げ場がない。大人にも打ち

明けにくい。
 いじめを受け、人格を否定される。いじめる側は軽い気持ちだ。いじめを受け

る側は、世界が壊れるかと思う苦しみだ。自分を支えられなくなる。

 この状況をどうやって抜け出すか。自力では困難だ。希望がない。けれど、自

尊心がある。人間らしいあるべき自分への自尊心。そこで、思い切って命を断て

ば、抜け出せるかもと思いつく。みんなびっくりして、考え直すだろうとも思

う。この考えが、頭にこびりついてしまう。

 こんな袋小路に入り込まないために、どうしたらいいか。
 学校がすべてだと思わないことだ。
 転校、もいい。家にいて自分で勉強、もいい。フリースクールに通う、もい

い。中学校はどんなに欠席しても、校長先生が卒業証書をくれることになってい

る。
 高校の場合は、高校に行かなくても、高等学校卒業程度認定試験(高認)を受

けることができる。履歴書に高卒と書けるし、大学も受験できる。
 「学校に行けない」「学校に行きたくない」と子どもが訴えたら、親は、「学

校だけは行きなさい」とか言わないこと。親が「学校は大事」と思うと、子ども

は二倍苦しむ。子どもの異変に気づいたら、学校よりも、子どもの人生を優先し

なさい。

 最後に、自殺が頭をかすめる若いひとに、ぜひ言いたい。
 あなたはまともです。自尊心のないひとは、自殺を考えない。
 でも、自殺しないのは、もっと勇気がいる。知恵もいる。自殺する勇気とエネ

ルギーがあれば、自殺しなくていい。立派に生きていける。
 もしあなたが、いじめを受けているなら、苦しくても、親に打ち明けよう。そ

して、この文章のコピーをみせよう。親を味方につけよう。学校に行かないです

む道を、いっしょに考えさせよう。
 もしあなたが、体調が悪かったり、夜ねむれなかったり、食欲がなかったりし

たら、医者に診てもらおう。内科がいい。相談に乗ってくれて、薬も出してくれ

るはずだ。
 気持が落ち込んで苦しいときは、「いのちの電話」に電話しよう。つながらな

くても、何回もかけよう。匿名で、相談に乗ってくれるはずだ。
 あなたみたいに苦しんでいるひとは大勢いる。あなたはひとりぼっちじゃない。

 

  電話の一例「#いのちSOS」 TEL0120-061-338 (https://www.lifelink.or.jp/inochisos
  いのち支える相談窓口一覧 (https://jscp.or.jp/soudan)

 

 

 

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